課題設定しているし、共有もしているけど、なぜか部下が課題に対して思った通りに向き合ってくれない。そんな悩みを持っている方も多いのではないでしょうか?それではどうしたら良いか?答えは簡単です。課題設定と同時に、「達成基準」を設定していないからです!
年々変化のスピードが早くなり、競争が激化していく小売業界。そこで生き残っていくには、変化に対応し、競争に勝ち続けなくてはなりません。そのためには店で働くスタッフの成長が必要不可欠です。どんなに商品やサービスが優れていても、働いている人間の成長がなければ店は弱体化していきます。
スタッフに成長してもらうためには、評価を通してスタッフ一人ひとりの課題を明確にし、課題に向き合い、クリアさせていく必要があります。
課題設定だけであれば、どの企業でもやっているし、学校の部活動などでも行われているくらい当たり前であり、課題設定はそんなに難しいことではありません。しかし、これだけでは実は不十分なのです。
課題を設定したあと、その課題に対し何をしたら達成となるのか?どこまで到達したら達成となるのか?という「達成基準」の設定が必要なのです。達成基準の無い課題は、例えるなら、登る山とその頂上(ゴール)、どちらも分からないにも関わらず、登らなければならない登山のようなものです。
それ以外にも達成基準がないと困ることがたくさんあります。
下記で詳しく説明していきます。
達成基準を定めず課題と向き合わせるとどうなるか?
よくあるパターンを紹介します。
これも登山に例えます。
評価する上司が登ってほしいと思っている山はA、被評価者である部下が登った山もA、しかし、上司は10合目まで登ることが課題クリアと思っているが、部下は5合目を頂上(ゴール)でクリアと思いそこで登るのを止めてしまう。
こういうことが起こります。
この場合、評価は一部出来ますが、5合目で止まってしまっているため、半分の5合目までの低い評価しかできません。
課題を設定して、部下もそれに向き会ったにも関わらず、どちらも評価できない状況になってしまったのです。
このまま評価を迎えた場合どうなるでしょうか?
もちろん部下は課題を達成したので、満点の評価されると思っています。しかし、上司からしてみると、半分しか達成していないので、満点の評価を出すことが出来ません。
よってここで食い違いが起こり、上司は信頼を失い、部下はモチベーションを下げるのです。
これは組織にとってはたいへん大きな損失です。評価とは本来組織の成長のためにある仕組みですが、全く逆の効果となってしまうことがあります。
達成基準を設定する重要性
そもそも、上司と部下では、立ち位置が違うため、見えている景色が違います。上司がここまでやってほしいと思っていても、部下もその通りの基準で思っているとは限りません。
よって、課題だけでなく、その達成基準まできちんと設定し共有しておく必要があるのです。
達成基準を設定する際の注意点
上司と部下とで、達成基準を合わせる必要があります。ほとんどの場合、上司の達成基準の方が難易度が高く、部下の方が低いです。
よって、ただ上司の達成基準を押し付けるのではなく、部下自身からも部下なりの達成基準を一度言ってもらう必要があります。
ここで一度部下からの意見も聞き、そして上司のそれと乖離があれば、どうして乖離があるのか、その根拠と理由をきちんと説明する必要があります。
そして上司・部下双方で納得して初めて、達成基準の設定は完了します。
まれに上司と同じ課題達成基準を持っている部下がいます。こうした部下は、例外なく課題を達成して出世していくことでしょう。
達成基準があるとフィードバックでの納得感が違う
私も以前は課題だけ期初に設定し、期末にその結果のフィードバックを行っていました。しかし、これだと、プラス査定の時は問題ないのですが、困るのはマイナス査定の時です。
マイナス査定をされようと思って仕事をしている部下はいません。全員ができるならプラス査定が欲しいと思っているのです。そのため、課題に対して全員が達成に向けて自分なりの取り組みをしています。
そして全員がその取り組みを正しいと思っているのです。
そのため、いざフィードバックの場でマイナス査定をもらうと、当然納得してくれません。
部下からの信頼は失うし、部下のモチベーションは下がります。
しかし、共有した達成基準があると、出来た、出来ていないが明確ですから、マイナス査定であっても相手は納得してくれます。また、マイナス査定だったとしても、次回目指すべきことや今回の不足が分かるため、また次の機会での達成を目指すマインドを持たせることが出来ます。
課題設定とともにやるべきこと【まとめ】
- 課題設定と同時にその課題の達成基準を設定すること
- 達成基準を設けず課題のみで進めると、低い達成度や課題との向き合い方を間違える可能性がある
- 達成基準は部下からも一度提示させ、その上で上司の達成基準とすり合わせをして共有する
- 達成基準がないと、マイナス査定のフィードバックが難しくモチベーションダウンに繋がる
この達成基準の精度を上げ、部下にそれを本気で目指す行動を取らせることが出来れば、正直上司がやることはほとんどありません。
マネジメントはここに凝縮されています。
実際、私はこれをやってから、部下に指摘をする機会が大きく減りました。ゴールが分かっているから、自分でどんどん修正して進んでいくんですね。
上司、部下、双方にとってWINWINな手法です。
以上、参考にしてくれたら嬉しいです。
それでは~
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