店長が持っておくべき心得五箇条

店長が考えていること

小売店の店長は簡単な仕事ではありません。

お客様対応から、店の修繕、欠員が出れば販売員としての業務もやる必要があります。採用・損益・レイアウト計画、上げればキリがないほど業務はたくさんあります。

そして最終的に店長に求められるのは、その店の業績を上げ利益を創出することにあります。

しかし、利益を出す以前に、まずは利益を出す構造を作らなければなりません。そのためにはまずはその基軸である店舗のスタッフの信頼を得て、協力してもらい、かつ個々人に高いパフォーマンスを発揮してもらう必要があります。

そのためには店長はどうあるべきか?

今日は社員50名、アルバイト500名、年商120億の支社を管掌している私が、店長として常に意識している心得をお伝えします。

店舗のルールを守る

店長は店の方向性を決め、利益創出のために店を動かす立場にあります。

そのため店長の指示や発言には説得力がなければなりません。

例えば毎日自由に自分のシフトを決めている店長が、「トラブルが多いからシフトをきちんと守るように」と言ったって、誰も聞く耳持たないですよね。

また、店長がルールを守っていないと、相手にとって、しなくて良い、守らなくて良い理由を与えてしまうことにもなります。

私の実体験紹介します。

ルーティンの掃除をしてくれないスタッフがいたので、どうしてやってくれないのか理由を聞くと、「忙しくて出来なかったんです。」というので「他のみなさんも忙しい中でやってくれています。店舗のルールですし、やってくれませんか?」というと、「店長だって、いつもエプロン付けてないじゃないですか!それだってルール違反ですよね。」と言い返されてしまいました。

私がエプロンを付けていないことと、掃除は全く関係は無いのですが、そのスタッフからすると、十分なやらない理由になってしまっていたんですね。

もちろんこのスタッフもやらなければならないことは理解しています。しかし、他の仕事で忙しいし、悩んだ末に自分なりの言い訳を作ってしまったんです。店の権力者である店長のエラーを見つけ、それをやらない理由としてこじつけてしまったんですね。

もちろんこれは私が店のルールであるにも関わらずエプロンを付けていなかったことが、言い訳を作らせてしまった要因なので正さなければなりません。※実際ここから先一度も付け忘れたことはありません。

ただ、ここで伝えたい事は、店長の影響力は大きく、一つのルール違反が、スタッフのやらない理由をつくってしまう要因となる、ということです。

そのため、店長が率先してルールを守り、指示や発言への説得力をきちんとキープしておくことは非常に重要です。

店長は店の長であり、店では最高権力者ですから、ルール違反をしていても咎められることがありません。※咎めてくる部下がいたら、その部下を大切にし、場合によっては副店長にしましょう。よって簡単に裸の王様になります。

みんな表ではちやほやしてくれるが、裏ではぼろくそ言いわれているあれです。

店長も他のスタッフ同様、店のルールはルールとして、絶対に遵守しましょう。

身だしなみを整える

相手が持つ第一印象、先入観を意識するために非常に重要です。清潔感があり、店舗ルールに則った制服・身だしなみルールで出勤しましょう。それだけで印象は良くなるし、第一印象と先入観が良いと様々な場面で店長にとって良い効果が得られます。

自分は人間性とコミュニケーションで勝負だ!という方もいるかもしれませんが、これは大甘です。若いスタッフであればまだ良いですが、年長のスタッフにはそれだけでは通用しません。

そもそも接客業である以上、お客様に不快感を与えない身だしなみにすることは最低限のマナーです。清潔感ある身だしなみを整え、周囲に好印象を与えることを意識するのは当然のことです。

良く、店長だけラフな私服で働いているお店を見かけます。また、シャツが毎回汚い、チーフ・帽子必須なのに付けていない、とかが典型的な悪い例ですね。まあこの場合は店舗ルール違反をしていますから、そもそも身だしなみ以前の問題ですが。

質問です。あなたがプライベートで深刻な悩みを抱えています。次の2パターンの店長の内、本音を話そうと思う店長はどちらでしょうか?

  1. 寝癖で無精ひげ、シャツは白だけどしわくちゃで、エプロン付けてるけどズボンはジーンズに足元はサンダル
  2. 髪とひげはきちんと整えられ、シャツは襟元までピシっとしており、エプロンを付けズボンは折り目の付いたスラックスで、足元は磨き上げられた革靴

間違いなく1の店長に深刻な悩みを話そうとは思わないでしょう。そうすると、このスタッフは、相談してくることなく、気づくと退職してしまうことでしょう。

また、接客業にも関わらず身だしなみがだらしないと、「自分は能力があり偉いからこれで良いのだ」という名札を付けて宣言しているのと一緒です。無意識に周囲を威圧しているのです。

頻繁に業務を共にし、自分への理解が深いスタッフであればまだ良いですが、たまにしか合わない、普段コミュニケーションを取らないスタッフは、相手の見た目で印象やイメージを持ちます。

身だしなみがだらしない人ほど、威圧的で怖いなど悪い印象を持たれることが多いです。

清潔感ある整った身だしなみをするメリットを店長が活かさない理由はありません。

笑顔であいさつする

笑顔でのあいさつ。このフレーズはもう何百回と聞いてきたと思いますが、店長にとって、これをやることのメリットは非常に大きいです。

これには理由が2つあります。

スタッフが安心する

スタッフは職場の雰囲気をとても重要視しています。一人でやる職場ではありませんから当然ですね。雰囲気に一番影響があるのは、もちろん店長の機嫌です。常に店長がにこにこ笑顔で機嫌よくあいさつしてくれれば、店舗の雰囲気はひとまず安心です。

スタッフは店長が笑顔であいさつしてくれると、安心感を覚えるんですね。

スタッフへの承認

あいさつしてあいさつを返す。このコミュニケーションが重要です。店長に認識された、存在を認められたと感じ、承認欲求を満たすことが出来ます。

店長の存在感は大きいです。あいさつ一つで相手の承認欲求を満たすことが出来るのです。それが笑顔であればなおさら効果てきめんですね。

全員に敬語を使う

これもすごく大事です。年下、部下でも関係ありません。入社したての新人さんであろうと、とにかく全員に敬語を使用することをおすすめします。

店長はその店において上司がいませんから、敬語を使う必要が無いと考える方もいます。しかしここで勘違いしてはいけないのが、店長はあくまで仕事上の役割であって、店長である自分が偉いわけではないのです。

自分の倍以上の年齢の方へ敬語を使わず話をして、指示をしているシーンも良く見かけます。では、これが仕事外であれば、倍以上も人生経験のある方へ敬語を使わず話しをするでしょうか?

ほとんどの方が敬語を使用します。

では逆に自分の半分以下の年齢の人が、仮に上司だったとしても敬語を使わず話しかけてきたらどう思うでしょうか?

少なからず嫌な気持ちになるでしょう。配慮がない、存在を軽く見られていると思う方も多いと思います。

さらには回りがそのシーンを見るとどう思うか?「この店長は年上に対して気遣いがないんだと」思われ、年上のスタッフからの信頼は間違いなく低下するでしょう。

では、逆に入社したてで誰が見てもアルバイトが初めての高校1年生のスタッフに、店長が敬語で話しているシーンを見たら、回りはどう思うでしょうか?

「この店長は明らかに年下のスタッフにも配慮があって安心だ」と思われ、老若男女問わずスタッフから信頼されることでしょう。

その店のリーダーである店長という立場であるならば、こうした敬語の影響に想像力を働かせ、良い活用をするべきです。

副店長を指名する

店長は店の最高権力者です。気を抜くと、すぐ裸の王様になってしまいます。そうならないよう副店長を立てることが有効です。

店長は店舗では否定的な意見を言われることや、注意を受けることがどうしても少なくなってしまいます。

5分の遅刻をしていて、最初は自分でも気にしていて周囲に謝っていても、しばらく誰も何も言わない状況が続くと、「自分は遅刻していても許されるんだ」と勘違いしてしまうのが人間です。

一度でもこうした自分に対する甘さを許してしまうと、後は裸の王様一直線です。

気付くと自分にとって都合の良いルールばかりを作り、自分にとって都合の良いスタッフばかり近くに置くようになりまさう。

そうならないように、近くできちんと店長を監視し、意見をくれる2番手が必要です。

副店長の人選ですが、上記理由から、自分にとって都合が良いイエスマンではなく、自分に対してきちんと意見してくれ、向いているベクトルは同じだが、自分とは少し考えが違うスタッフを副店長にすることをオススメします。

これは店長の補佐役としてではなく、ご意見番としての副店長です。そして副店長へは、次の3点を必ず伝えておきましょう。

  1. 店長に対して言いたいことは必ず言うこと。
  2. 店長が重要な判断をする時は必ず副店長に事前相談すること。
  3. 何を店長に言っても、意見を真っ向から否定してもそれが業務であり評価となること

これだけで店長が裸の王様になることはまずなくなります。

こうして、思考が違う人材を副店長にすると、中々業務が進まないことがあります。ベクトルは一緒でも思考が違うので、何かをやろうとするたびに議論が必要だし、時には反対されるからです。

しかし、ここで議論をすることで、モノゴトのマイナス面や別の側面に気づけることがあります。「あ、こういう弊害もあるんだ」とか「自分が思うほど店にメリット(デメリット)はないな」など。

そうした議論を経ることで、モノゴトへの理解が深まり、店舗にとっては良い決定事項となり、スムーズに現場に受け入れられることが多いです。

まとめ

ここまでに記載した5箇条は、私が人の真似や、小手先のテクニック、書籍や動画で読んだ知識そのままを実践し、信じられないくらいの失敗を繰り返しながら、たどり着いた店長業務の本質です。

当たり前で基本的なことかもしれません。しかし、こうした基本的なことを徹底してやり続けることで、その人に特別な力がなくても、大きな組織をまとめ、動かし、成果を出すことが出来るのです。

金言や王道はありません。

地道に小さな信頼を積み上げることが唯一間違いのない正解であり、

それこそが店長道だと私は思っています。

以上、これから店長になる方、店長として悩みを抱えている方などの参考になれば嬉しいです。

以上!

それでは~

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